前回、Obsidianを外部記憶にする話を書きました。全部を1箇所に放り込んで、AIに整理させる。今日はその続き、「案件が終わったあと」の話です。

2年ぶりに昔のクライアントから連絡がきました。「前と同じ感じでお願いします」。……前と同じ感じって、何やったっけ。

社長 社長
HDDのフォルダ、探すの無理。数百個ある
蔵人 蔵人
探さなくていい仕組みにしましょう。謝罪は要りません。次の一手です

またやってもうた

案件が終わるたび、デスクトップのフォルダは外付けHDDに移動しています。デスクトップが散らかるのが嫌だから。それ自体は正しい判断です。

でもHDDの中は「なんとなく年代順」の闇でした。前回の見積もり、最終データ、先方の担当者の癖。全部どこかにはある。どこかには。

探すのに1時間。見つからなくて、結局あいまいな記憶で見積もりを出して、あとで前回より安くしてしまったことに気づきました。またやってもうた。

社長 社長
全部Obsidianに入れるとか?ファイルでかいし無理やろ
蔵人 蔵人
ファイルは要りません。残すのは『何をやったか』の記録だけです。フォルダは移動しても、記録は動かさない
社長 社長
……それだけでええの?
蔵人 蔵人
2年後のあなたが知りたいのは、ファイルの場所ではなく『いくらで・何を作って・何に気をつけるべきか』です。先週も同じことを言いました

なぜ詰まるのか

ADHD脳の「案件終わりあるある」を分解すると、こうなります。

  • 終わった瞬間、その案件への興味が消滅する(次の締切に脳を全部持っていかれる)
  • だから「締めの記録」を書かないままフォルダだけ移動する
  • 数年後、記録ゼロのフォルダの山から発掘作業をするはめになる

つまり問題は整理整頓ではありません。「案件が終わった瞬間に記録を書く」という、一番やる気が出ないタイミングの作業を、自分の意志でやろうとしていることでした。

意志でやることをやめて、AIの儀式にしました。

AIに任せる部分

作ったルールは3つだけです。

ルール1:役割分担を固定する

  • デスクトップ=作業場(重いファイル。終わればHDD行き)
  • 外部記憶=司令塔(案件ごとの記録。ここは永遠に動かさない)
  • 残すのはフォルダへのリンクじゃなく、記録そのもの

ルール2:案件が終わったら一言伝えるだけ

「〇〇終わったよ」と言えば、AIが勝手にやってくれます。

  • 完了日・成果物・確定金額をログに記録
  • 申し送り(次回このクライアントで気をつけること)を書き残す
  • クライアントのページに履歴を1行追加(このページは案件が終わっても消さない)
  • HDDに移動したらリンクだけ張り替え

ルール3:AI秘書が1問ずつ聞いてくる

記録に「未確認」と書いた場所を、AIが覚えていて、あとで選択肢つきで1問ずつ聞いてきます。

「この案件、入金済みだけど完了にしていい?」——ボタンを押すだけ。まとめて10問聞かれたら逃げますが、1問なら答えられます。ADHD向けのUIは常に「1つずつ」です。

社長 社長
1問ずつって、地味やけどでかいな
蔵人 蔵人
まとめて聞かれると人間は逃げます。1問なら、答えられます

実際のプロンプト

案件クローズの指示は、こういう内容です。コピペで使える要約版です。

案件クローズ処理を頼むプロンプト
案件のクローズ処理をしてください。
1. この案件のログに完了記録を追記:完了日/最終成果物/確定金額/
   申し送り(次回同じクライアントの案件で知っておくべきこと)
2. ステータスを「完了」に変更
3. 作業フォルダの場所が変わったら、記録内のパスを1行だけ書き換える
4. クライアントのページに「(完了 日付)」を追記。ページ自体は削除しない
不明な点は推測せず、1つずつ私に質問してください。

ポイントは最後の1行です。AIに「1つずつ聞け」と明示すると、秘書っぽさが一気に出ます。

使ってみた結果

  • 案件終わりの「記録書かなきゃ…」が消えた。一言伝えるだけ
  • HDDにフォルダを移しても、記録側は何も壊れない(パス1行の張り替えだけ)
  • 数年ぶりのクライアントが来ても、ページを開けば過去案件の履歴と申し送りが全部並んでいる
  • 「未確認」の山が、AI秘書の質問リストに化けた。放置した罪悪感が「あとで聞かれるから大丈夫」に変わったのが大きい

まとめ

残すべきはファイルへのリンクじゃなく、記録そのものです。フォルダは動く、記録は動かさない。

一番やる気が出ないタイミングの作業(締めの記録)こそ、AIの儀式にします。クライアントのページは永久保存。案件は終わりますが、関係は終わりません。AI秘書には「1問ずつ聞いて」と頼みます。まとめて聞かれたら、人間は逃げます。

「きちんと管理」は今日も無理でした。でも、AIに一言伝えることはできました。それでいい。