これまで、朝の一手をAIに出してもらう話と、記録を「貼るだけ」にした話を書いてきました。

今日は、その手前にある大きな壁の話です。やることが多いと、なぜか1個もできない。あの現象についてです。

社長 社長
タスク20個あるやろ。多いから頑張ろうって思うやん。なのに、多いほど1個も手ぇつかへんねん。逆やねん
蔵人 蔵人
逆ではなく、それが普通でございます。やることが多いほど着手率は下がる——気合いが足りないのではなく、脳が選びきれずに止まっているだけです

またやってもうた

私はADHD気味の自営業者です。タスクは、放っておくとどんどん積み上がります。複数のクライアント、複数の案件。リストはすぐ20個、30個になります。

普通に考えれば、リストが長いほど「やらなきゃ」と火がつきそうなものです。でも私の場合、逆でした。

  • リストが長いほど、見るのが嫌になる
  • どれも中途半端に大事で、順位がつけられない
  • 1個やっても、残り19個が目に入って気が滅入る
  • 結局、リストを閉じて、何もしない

「こんなに溜めて、また何もできなかった」と自分を責める。リストが、やる気を奪う装置になっていました。

なぜ多いと止まるのか

先に、いちばん言いたいことを書きます。これは怠けではありません。

選択肢が多いほど、人は選べなくなって動きが止まります。これはADHDで特にはっきり出ます。20個のタスクは、脳にとって「20回の決断」です。その決断の渋滞で、最初の一歩すら出せなくなる。

普通のタスク管理ツールは、タスクを無限に積めます。積めることを「便利な機能」だと思っています。でも、積まれた山そのものがプレッシャーになる脳には、その親切が逆に効いてしまう。

つまり、必要なのは「全部を見せてくれるリスト」ではなく、「いま見るべき一手」だけを見せて、残りを隠してくれる仕組みでした。

AIに「次の一手を1つだけ」に絞ってもらう

そこで、抱えているタスクを全部AIに渡して、案件ごとに「次にやる一手」を1つだけ決めてもらうようにしました。全部を計画しない。1案件につき1個だけ、表に出す。

案件ごとの『次の一手』を1つに絞ってもらうプロンプト
抱えているタスクが多すぎて、1個も手につきません。
全部を計画しなくていいので、案件ごとに「次にやる一手を1つだけ」に絞ってください。
ルール:
- 1案件につき、次の一手は1つだけ。2つ以上は出さない。
- その一手は「30分以内に終わる具体的な動作」にする。
- 細かい残作業は「あとで」としてまとめ、今は出さない。
抱えている案件とタスク(思いつくまま箇条書きで):
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コツは、AIに「1案件1個まで」と上限を決めさせることです。人間が絞ろうとすると「これも大事、あれも大事」で絞れません。上限のルールごと預けてしまうと、すっと1個に減ります。

社長 社長
1個だけって言われると、なんや、やれる気がするわ。19個隠してくれてるだけで、こんな違うんか
蔵人 蔵人
あれもこれも一度には、誰でも無理でございます。いま見るべき一手だけお見せして、残りは隠しておきました。それだけのことです

毎回これをやるのが面倒で、アプリにした

このやり方はよく効きました。でも、毎回タスクを全部貼り直して絞ってもらうのは、やはり手間です。そこで、案件ごとに「次の一手=Next Action」を1つだけ持つように、自分用の案件管理アプリ pm-app を作りました。

このアプリは、案件ごとにNext Actionを1つだけ、目立つ場所に表示します。細かいチェック項目はTodoに逃がして、ふだんは隠しておく。画面に出るのは「次の一手」だけ。多いと動けない脳のために、わざと1個だけにしています。

「たくさん見せる」のをやめて「1個だけ見せる」に振り切る。この設計のおかげで、リストに殺されずに済むようになりました。

この pm-app は、いまスターター版として配布できる形に準備中です。整い次第、このブログでもお知らせします。

実際、最近こうなった話

先日、あるクライアントのサイト改修で「トップページを直す」という依頼が来ました。これをそのままNext Actionに乗せると、また固まって動けなくなります。「トップページを直す」は、大きすぎて1個の一手になりません。

なので、Next Actionには乗せず、チェックリスト(Todo)に分解しました。

  • TOP画像を差し替える
  • 見出しと説明文を直す
  • 実績画像を配置する
  • 施工実績を反映する

1個ずつ潰していくたびに、チェックを入れるだけでpm-appが「✅完了:〇〇」というログを自動で残してくれます。進捗を自分で書く手間がゼロなので、記録のことを考えずに、次のチェックだけに集中できました。気づけば1日のうちに4項目のチェックが積み上がっていて、「ちゃんと進んでいる」が目に見える形で残っていました。

社長 社長
『トップページ直す』1個のままやったら、たぶん今も固まってたわ。4つに割った途端、なんや、ただの作業になったな
蔵人 蔵人
大きいままだと、脳が『重すぎて持てない』と判断して手を離すのでございます。持てる大きさに割ってお渡しすれば、あとは1個ずつ運ぶだけでございます

まとめ

やることが多いと1個もできないのは、あなたの根性が足りないからではありません。「長いリストを前にしても選べる人」を前提にした道具を、使おうとしていただけです。

必要なのは、タスクを全部見えるようにすることではなく、いまの一手を1つだけにして、残りを隠すこと。まずはAIに、案件ごとの「次の一手」を1つに絞ってもらうところから始めてみてください。