ここまで、朝の一手貼るだけ入力次の一手を1つだけ、と書いてきました。

今日は、もっと静かで、もっと怖い壁の話です。気づいたら案件が止まっている、あの現象についてです。

社長 社長
あの案件、どうなってたっけ……あ、先方の返事待ちのまま2週間ほっといてもうてる。誰も動いてへん
蔵人 蔵人
だらしないのではございません。社長は『今ここ』に強い分、放置している時間が見えにくいのです。止まっていること自体に、気づけないだけでございます

またやってもうた

私はADHD気味の自営業者です。動いている案件は、ちゃんと動かせます。問題は、動いていない案件です。

「先方の返事待ち」「見積もり送ったまま」「先方ボール」——こういう案件が、いつの間にか時間だけ過ぎている。

  • 「返事待ち」のつもりが、こちらの催促を忘れている
  • 止まっていることに、何週間も気づかない
  • 思い出した頃には「今さら連絡しづらい」状態になっている
  • その気まずさで、さらに連絡が遅れる

動かしている案件の裏で、別の案件が静かに死んでいく。気づいたときには手遅れ、ということが何度もありました。

なぜ「止まっている」のが見えないのか

先に、いちばん言いたいことを書きます。これはルーズだからではありません。

ADHDの脳は「今ここ」がとても強い。目の前のことには集中できます。その代わり、「何もしていない時間がどれだけ経ったか」という時間感覚が弱い。だから、放置している期間そのものが見えにくいのです。

普通のツールは、止まっている案件も、進んでいる案件も、同じ顔で一覧に並べます。並んでいるだけでは、どれが「2週間動いていない」のか分からない。自分の頭で「これ、最後いつ触ったっけ」と思い出すしかなく、その記憶こそが苦手分野です。

つまり、必要なのは「全案件が並ぶ一覧」ではなく、「これ、止まってますよ」と向こうから拾い上げてくれる仕組みでした。

AIに「止まっている案件」を仕分けてもらう

そこで、案件の一覧と「最後に動かした日」をAIに渡して、止まっている順に並べ替えてもらうようにしました。自分で気づけないなら、気づく作業を外に出すしかありません。

止まっている案件を拾い上げてもらうプロンプト
案件が止まっていることに自分で気づけません。
以下の案件リストを見て、放置リスクの高い順に並べ替えてください。
各案件について、次を判定してください。
1. 最後に動いてから何日経っているか
2. いま止めているのは「相手待ち」か「自分待ち」か
3. 「自分待ち」なら、今日できる催促や一手を1つ
案件リスト(案件名 / 最終更新日 / 今の状況):
- 例)A社サイト改修 / 6月5日 / 見積もり送付後、返事待ち
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ポイントは、「相手待ち」か「自分待ち」かを必ず仕分けてもらうことです。「相手待ち」だと思い込んで放置していた案件が、実は「自分が催促していないだけ=自分待ち」だった、というのが本当によくあります。そこを切り分けてもらうだけで、動かせる案件が見つかります。

社長 社長
『これ自分待ちですよ』って言われてハッとするわ。相手のせいにして寝かせてたやつ、自分が止めてたんやな
蔵人 蔵人
忘れること自体は、責めても仕方がございません。ですので、忘れる前提で、こちらが覚えておくことにいたしました

毎回これをやるのが面倒で、アプリにした

このやり方はよく効きました。でも、止まりかけを見つけるために毎回リストを書き出して渡すのは、本末転倒です。そこで、案件の動きをアプリ側に覚えさせて、止まっているものを向こうから出すようにしました。自分用の案件管理アプリ pm-app です。

このアプリは、案件の停滞・待ち・放置を拾い上げて、参謀ダッシュボードに「これ、止まってます」と出します。しばらく動いていない案件、相手の返事を待っている案件を、こちらが思い出す前にアプリが教えてくれる。忘れていた案件を、アプリが代わりに覚えていてくれるわけです。

「止まっていることに自分で気づく」のをあきらめて、「気づく役」をアプリに渡す。そうしたら、案件が静かに死ぬことがなくなりました。

この pm-app は、いまスターター版として配布できる形に準備中です。整い次第、このブログでもお知らせします。

実際、最近こうなった話

複数の案件が同時に「相手待ち」になる時期がありました。返事待ち、素材待ち、日程待ち。放っておくと、どれがどれだか分からなくなり、気づけば一番古いものから静かに死んでいきます。

今回は、長い状況説明を書く代わりに、案件ごとに一言だけ残すようにしました。

  • 「〇〇案件:打ち合わせ日程が確定」
  • 「△△案件:確認待ちの状態が継続中」
  • 「△△案件:先方へ確認連絡を送付済み、回答待ち」
  • 「□□案件:作業完了、あとは請求へ」

一言でも、日付つきで残しておけば十分でした。あとで見返したときに「これ、いつから止まってるんやっけ」が一瞬で分かる。長い記録を書こうとすると続かないので、「一言だけ」に割り切ったのが良かった点です。

社長 社長
ちゃんと書こうとすると続かへんけど、一言だけやったら続くもんやな
蔵人 蔵人
止まっている案件を見つけるのに、立派な記録は要りません。『いつ・どうだったか』が一言あれば、それで十分でございます

まとめ

案件を止めてしまうのは、あなたがいい加減だからではありません。「放置している時間がちゃんと見える人」を前提にした道具を、使おうとしていただけです。

必要なのは、気合いで思い出すことではなく、止まったものを「向こうから拾い上げてもらう」こと。まずはAIに、案件を「相手待ち」と「自分待ち」に仕分けてもらうところから始めてみてください。