「あの話、どこにメモしたっけ」。Notionにある気がする。いや、LINEのメモかも。デスクトップの「名称未設定フォルダ」かもしれない。頭の中にだけあった可能性もある。それがいちばん怖い。
先週、飲み会で語った事業アイデアについて「あれ、進んでる?」と連絡がきました。……あれって、どれや。
社長
蔵人
またやってもうた
メモは、してた。えらい。でもメモした場所を忘れた。メモの存在ごと忘れてたから、探しもしなかった。ADHDのメモは「書いた瞬間に成仏する」。またやってもうた。
社長
蔵人
社長
蔵人
社長
蔵人
なぜ詰まるのか
ADHD脳のメモが機能しない理由は、根性の問題じゃありません。構造の問題です。
- ワーキングメモリが小さい:頭に置いておける量が少ない。だから外に出すこと自体は正しい
- 保存場所が分散する:Notion、LINE、紙、デスクトップ……「その時ラクな場所」に書くから、あとで探せない
- 整理が続かない:フォルダ分けやタグ付けは「毎回やる地味な作業」。いちばん苦手なやつ
- 検索できても思い出せない:検索は「何を探すか覚えている人」のための機能。存在を忘れたメモは検索されない
つまり「第2の脳」に必要な条件はこの3つになります。
- 全部が1箇所にある(分散させない)
- 整理は自分でやらない(AIが司書をやる)
- 検索じゃなく質問できる(「あの話どうなってた?」で出てくる)
これを満たす組み合わせが、Obsidian × Claude Codeでした。
AIに任せる部分
役割分担はこうです。
Obsidian(無料):ただのフォルダとテキストファイル。だからこそ強い。サービス終了で消えない、ローカルだから速い、AIが直接読み書きできる。ノート同士を「リンク」で繋げられるのが第2の脳たるゆえんです。
Claude Code(AI):司書兼記録係。人間がやらないこと全部を担当します。
- 放り込まれたPDF・議事録・メモを読んで、整理して、リンクを張る
- 会話するだけで案件の記録を勝手に書き残す
- 「未確認」なことを覚えておいて、あとで聞いてくる
人間(あなた):放り込む。質問に答える。以上。
そして一番の効果が「点と点がつながる」ことです。
実際にあった話を出します。過去の記録をAIに整理させたら、別々の案件だと思っていた2つの仕事の関係者が、実は同一人物だったと発覚しました。ある案件の担当者と、別の新規クライアントのコンサルが同じ人。人間は「案件ごと」に記憶するから気づきません。AIは「人ごと」にリンクを張るから一発で気づきます。
半年前の飲み会の議事録が、今月動いている案件の原点だったことも、リンクの線で初めて見えました。脳内では点だったものが、外部記憶の上では線になります。
実際のセットアップ手順
1時間でできます。全5ステップです。
Step 1:Obsidianを入れる
obsidian.md から無料ダウンロードします。起動したら「新しいvaultを作成」で好きな場所にフォルダを作ります(例:my-vault)。
Step 2:Claude Codeをvaultで起動する
ターミナルで作ったフォルダに移動してから、Claude Codeを起動するだけです。これでAIがvaultの中を読み書きできるようになります。
Step 3:ルールを書いたファイルを置く
vault直下に「CLAUDE.md」というファイルを作り、AIへの指示を書きます。これが司書の雇用契約書です。コピペ用の最小版はこちらです。
# このvaultは私の外部記憶装置
あなたはこのvaultの司書兼記録係。整理・リンク・記録はあなたの仕事。
私は放り込んで、質問に答えるだけ。
## ルール
- 会話が終わるたび、やったこと・決めたことを daily/今日の日付.md に勝手に記録する。
「記録しますか?」と聞かない。黙って記録する
- inbox/ に入れたファイルは、読んで要約して wiki/ に整理し、
関連するページ同士をリンクで繋ぐ
- 人名・会社名は出てくるたびにリンクにする(人ごとの繋がりが見えるように)
- わからないことは推測で書かず「未確認」と書く。
未確認が溜まったら、私に1問ずつ質問して埋めていく
- 私の書いたメモを勝手に消したり要約で上書きしたりしない。追記のみStep 4:手持ちの情報を放り込む
vault内に「inbox」フォルダを作って、PDF・議事録・エクスポートしたメモ、何でも入れます。整理は不要です。ぐちゃぐちゃでいい。
Step 5:AIに「整理して」と言う
これだけです。読んで、分類して、リンクを張ってくれます。以降は日々の会話が勝手に記録されていきます。
使ってみた結果
- 「どこにメモしたっけ」が消えた。全部vaultにあるから、AIに「あの件どうなってた?」と聞けば出典つきで答えが返ってくる。検索ではなく質問
- 忘れても大丈夫になった。数年ぶりに連絡がきた相手も、ページを開けば過去の経緯・条件・注意点が全部並んでいる。「忘れない人」にはなれなかったが、「忘れても困らない人」にはなれた
- 点と点がつながって商機が見えた。関係者の一致、昔の記録と今の話の線。人脈と履歴が「構造」として見えるので、次の一手が浮かぶ
- 未確認の山が、AIからの質問に化けた。「これ完了にしていい?」「この2人は同一人物?」と1問ずつ聞かれて答えるだけで、記憶の精度が上がっていく。自分から整理を始める必要が一度もない
正直に言うと、初期の放り込み(Step 4)だけは腰が重いです。でも完璧じゃなくていい。最初は雑にファイルを投げただけでした。雑に始めても、AIが後から整えてくれるのが、この仕組みの本体です。
社長
蔵人
まとめ
ADHDのメモ問題は根性ではなく構造です。「全部1箇所・整理はAI・検索じゃなく質問」の3条件で解けます。
Obsidianはただのフォルダ。だからAIが読めるし、一生モノになります。人間の仕事は2つだけ。放り込む。聞かれたら答える。
効果は「忘れなくなる」ではなく「忘れても困らなくなる」こと。そして点と点がつながって、次の商機が見えるようになります。完璧なセットアップより、雑な1時間。今日inboxに3ファイル放り込めたら、それでもう第2の脳は動き始めています。
「きちんと記憶」は今日も無理でした。でも全部vaultに置いてきました。それでいい。