前回、朝に何から手をつけるかをAIに出してもらう話を書きました。その最後に、こう書きました。「毎朝、案件の状況をAIに貼り付けて説明するのが面倒で、アプリにした」と。
今日はその続きです。なぜアプリを作る羽目になったのか。きっかけは、もっと手前の「記録が続かない」でした。
社長
蔵人
またやってもうた
私はADHD気味の自営業者です。クライアントは常に複数。メール、チャット、電話、打ち合わせのメモ。情報は一日中、あちこちから飛んできます。
そのたびに思うんです。「これ、あとでツールに記録しとこ」。
でも、その「あとで」が来ない。気づくと3日分の未記録がたまっている。3日分をまとめて入力する気力はもう残っていなくて、結局やらない。ツールの中身は古いまま放置され、古くなった瞬間に「もう信じられないツール」になって、開かなくなる。
- 情報が来た「その場」では記録しない(今の作業を中断したくない)
- 「あとでまとめて」と思うが、まとめる頃には量が増えている
- たまった入力を見て気が重くなり、さらに放置する
- ツールが古びて、最初から無かったことになる
NotionもTrelloもAsanaも、こうして消えていきました。何度も。
なぜ入力が続かないのか
先に、いちばん言いたいことを書きます。これはズボラだからではありません。
普通のツールは、1件の記録に、いくつもの入力欄を用意しています。誰から来たか。いつか。種別は何か。タイトルは。本文は。——埋めるたびに、小さな決断を5回くらいさせられます。
この「小さな決断のくり返し」が、ADHDの脳にはとても重い。1回ぶんは数十秒でも、その数十秒の前で手が止まる。だから「あとで」に逃がす。そして「あとで」は来ない。
つまり、足りないのは「マメさ」ではなく、決断をさせずに記録できる入り口でした。
AIに「貼るだけ」で整理してもらう
そこでまず、アプリを作る前にAIで試しました。メールやチャットの本文を、何も整理せずにそのまま貼って、整理はAIにやってもらう。自分は「貼る」だけにします。
案件の記録をためてしまうので、整理はあなたにお願いします。
私はメールやチャットの本文をそのまま貼るので、以下の形に整理してください。
判断に迷う項目は、確定させず「推定」と添えてくれて構いません。
- 案件名(推定でOK):
- 相手・差出人:
- 日付:
- 種別(連絡 / 決定事項 / 依頼 / リスク のどれか/推定でOK):
- 一行サマリー:
- 次にこちらがやること(あれば1つだけ):
貼り付ける本文:
(ここにメールやチャットをそのまま貼る)コツは、自分に決めさせないことです。種別もタイトルも、AIに推定してもらう。間違っていたら後で直せばいい。「貼る → あとで間違いだけ直す」なら、決断がほぼゼロなので手が止まりません。
社長
蔵人
毎回貼って説明するのが面倒で、アプリにした
この「貼るだけ」はよく効きました。でも、また面倒が一つ残りました。毎回チャットにAIを開いて、本文を貼って、整理してもらって、その結果をどこかに控える——この往復が、地味に重いのです。
だったら最初から、貼る場所と、案件の記録がたまる場所を、一つにすればいい。そう思って、自分用の案件管理アプリ pm-app を作りはじめました。
方針は一つだけに決めました。入力を減らし、判断を肩代わりさせる。 メールやチャットの本文を貼るだけで記録になり、種別やサマリーはアプリ側で補助する。通常は何も選ばず、貼って、保存。間違いだけ後でワンタップで直す。
「マメに入力する努力」を、自分からアプリ側に移したわけです。続ける才能が要らない作りにしたので、続けるのが苦手な自分でも、これは死にませんでした。
この pm-app は、いまスターター版として配布できる形に準備中です。整い次第、このブログでもお知らせします。
実際、最近こうなった話
先日、立て続けに3件の打ち合わせがありました。打ち合わせ中にリアルタイムでメモを取るのは、正直得意ではありません。話を聞きながら手も動かす、というのがそもそも苦手な特性です。
なので、打ち合わせ中は聞くことに専念して、メモは一切取りませんでした。全部終わったあと、まとめて3件、思い出しながら書きました。
- ある案件は「修正はほぼ完了、あとは先方からの素材待ち」
- 別の案件は「改修は完了、先方の確認待ち」
- もう一件は「追加要望を反映した新しい案を提示予定」
3件まとめて書いても、5分もかかりませんでした。「その場で正確に書く」を諦めて「あとでざっくり書く」に変えただけで、記録がちゃんと残るようになった。これは想定外の発見でした。
社長
蔵人
まとめ
記録が続かないのは、あなたがズボラだからではありません。「入力のたびに決断できる人」を前提にしたツールを、続けようとしていただけです。
必要なのは、もっとマメになることではなく、記録の入り口から「決断」を抜くこと。まずはAIに、貼った本文の整理を丸ごとお願いするところから始めてみてください。