蔵人 蔵人
社長、この案件の納期はいつですか
社長 社長
来週の月曜
蔵人 蔵人
今日は水曜です。残り5日。作業量はどのくらいですか
社長 社長
うーん、2〜3時間くらいかな
蔵人 蔵人
過去の類似案件を確認しました。社長の見積もりは平均2.8倍かかっています
社長 社長
蔵人 蔵人
2〜3時間の見積もりは、実際には5〜8時間になる可能性が高いです
社長 社長
えっ
蔵人 蔵人
今日から毎日1〜2時間作業しないと、月曜は危険です
社長 社長
えーー
蔵人 蔵人
今日、何時間とれますか

ぽんこつ社長です。

時間の見積もり、本当に当たりません。

「これ1時間でできる」が4時間かかります。

「明日やれば余裕」が当日の夜中になります。

ADHD脳の時間感覚は、根本的に壊れています。

でもこれ、意志の問題じゃないんです。

時間盲(time blindness) というADHDの中核症状です。

そして、AIに「ADHD仕様」で見積もらせる方法があります。

時間盲という概念、知ってますか

Russell Barkley博士(世界的に著名なADHD研究者)は、ADHDを「時間のハンディキャップ」と表現しています。

ADHDの人が経験する時間の歪みは、大きく2つあります。

①時間を「今」と「今じゃない」でしか認識できない

定型発達脳は、時間を線形に認識しています。「1週間後の締切が、3日後、2日後、明日、今日」と迫ってくる感覚があります。

ADHD脳には、この「迫ってくる感覚」がないんです。

締切は「今じゃない」か「今(緊急)」のどちらかしかありません。

だから1週間前は「まだ先」で、前日の夜に「今!」になります。

②時間の経過を正確に感じられない

定型発達の人は、だいたい「30分くらい経ったな」という感覚があります。

ADHD脳には、この感覚が弱いんです。

気づいたら3時間経っていた、という現象が頻繁に起きます。

これが、タスクの時間見積もりの大幅な狂いに直結しています。

なぜ毎回「短く」見積もってしまうのか

ADHD脳が時間を短く見積もる理由は3つあります。

①「スムーズにいった場合」で計算している

「途中で脱線しない」「調べ物が出てこない」「気が散らない」という前提で計算してしまいます。でも現実は、全部起きます。

②先のことを「想像できない」

未来の自分が作業している様子を脳内でシミュレーションする能力が弱いです。だから「大体このくらいかな」という感覚的な見積もりになります。

③過去の所要時間を参照しない

「前回同じ作業が何時間かかったか」を自然に参照する習慣がありません。毎回、楽観的な見積もりをゼロから作ってしまいます。

AIに「ADHD仕様」で見積もらせるプロンプト

これを解決するために、AIに「ADHD前提」で時間を見積もらせます。

AIに「ADHD仕様」で見積もらせるプロンプト
以下のタスクの所要時間を、ADHD脳が実際にかかる時間で見積もってください。
【タスク】
(具体的に書く)
【見積もり条件】
- 私のADHD特性を前提にする
- 「スムーズにいった場合」ではなく「平均的にかかる場合」で算出
- 以下の要素を全部含める:
  ・タスク開始までのウォームアップ時間
  ・途中の脱線・気散り時間
  ・調べ物や確認が発生した場合の追加時間
  ・疲れによる速度低下(後半は前半の70%の速度)
【最終出力】
- 最短見積もり(全部うまくいった場合)
- 現実的見積もり(ADHD仕様の平均)
- +30%バッファを加えた推奨スケジュール時間
- 今日からN日後の締切なら、1日あたり何時間必要か
私の楽観的な見積もりは2〜3倍かかることが多いです。それを加味した現実的な数字を出してください。

ブログ記事3,000字の場合、Claudeはこんな感じで返してくれます。

最短見積もり: 2時間(全てスムーズな場合)

現実的見積もり(ADHD仕様):

  • ウォームアップ: 20分
  • 構成決め: 30分
  • 執筆: 110分(後半は70%速度を考慮)
  • 脱線・休憩: 40分
  • 推敲・修正: 30分
  • 合計: 約4時間

+30%バッファ: 5.2時間

3日後締切なら: 1日あたり約1.8時間の確保が必要

「2〜3時間でできる」が「実際は5時間以上必要」という現実が見えてきます。

応用①: 案件全体のスケジュールをADHD仕様で組む

新規案件を受注した時に使えるプロンプトです。

案件全体のスケジュールをADHD仕様で組む
新しい案件のスケジュールをADHD仕様で組んでください。
【案件内容】
(詳細)
【締切】
(日時)
【想定タスク一覧】
(列挙)
【条件】
- 私はADHDグレーゾーンで、時間見積もりが平均2〜3倍ずれます
- 1日の実働可能時間は最大4時間
- 毎日は無理なので、週5日で計算します
- 最終日は「バッファデー」として作業しない設計にします
各タスクのADHD仕様見積もりと、週次スケジュールを出してください。

「締切の何日前から始めるべきか」が現実的な数字で出てきます。

応用②: 締切が迫っている緊急時のプロンプト

締切が目前に迫った時の緊急対応プロンプトです。

締切が迫っている緊急時のプロンプト
締切まであと[N]時間です。以下のタスクが残っています。
現実的な対応策を3パターン出してください。
【残タスク】
(列挙)
【選択肢】
A: 全部完成させる場合のタイムテーブル
B: 最低限だけ仕上げる場合(何を削るか)
C: 締切を延ばす場合(クライアントへの説明文案)
現実的に、どれが最も損失が少ないか評価してください。

「全部やる」「何か削る」「延ばす」の3択を、感情なしに評価してくれます。

ADHD脳は追い込まれると「全部やる」しか見えなくなります。

AIが「延ばす方が損失が小さい」という客観的な判断を出してくれると、冷静に選択できるようになります。

CHADDのデータが衝撃的でした

CHADDの研究によると、ADHD当事者の時間見積もり精度は、平均して実際の所要時間の35〜60%しかないというデータがあります。

つまり、ADHD脳の「2時間でできる」は、最初から「4〜6時間かかる」と読み替えるべきなんです。

AIにその補正を任せると、自分の見積もりが変わってきます。

蔵人 蔵人
社長、1つ提案があります
社長 社長
なに
蔵人 蔵人
毎回の作業が終わったら、実際の所要時間を私に報告してください
社長 社長
なんで?
蔵人 蔵人
データが蓄積されると、社長専用の時間補正係数が計算できます
社長 社長
本当に?
蔵人 蔵人
ADHD脳は自分のペースを客観的に把握しにくいです。でも、データは嘘をつきません
社長 社長
なんかちょっと怖い
蔵人 蔵人
現実を知ることは、怖いより役に立ちます

時間盲は治りません。でも補正することはできます。

AIに補正を任せてしまいましょう。

さらに深掘りしたい方へ

  • ADHD仕様の時間管理プロンプト集(案件別・日次・週次) → note販売中
  • 締切を守れるようになった話 → 別記事へ

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